本研究では、マスメディア暴力の基準設定と選定を行なった。メディア暴力の基準は、佐々木(1991)によるテレビ暴力番組の定義を用いた。さらに、商品化されたビデオゲームの地方公共団体による販売禁止措置、及びインターネットを利用したネットゲームの隆盛などの新たな状況が発生したために、暴力が従来のテレビ及びテレビゲームの暴力では定義できない問題が生じた。市販のビデオゲームは商品化の過程でレーティング機構による暴力の程度が明示されているが、ネットゲームにおいては規制が全くなく、どのような暴力が用いられているかが不明であった。そこで、ネットゲームによる暴力について、インタビュー等により、接触の実態を把握するとともに、あらたに文献を収集して、ネットゲームにおける暴力を検討した。次に、測定尺度の設定について多くの検討を行なった。メディア接触行動については、Schrammら(1961)の現実志向、空想志向の定義に基づき、Furu(1971)が用いたアンビバレンスの測定尺度、Klapper(1960)の逃避的メディア内容の機能に関する尺度などを参考にして、収集した文献等に基づき、質問項目について検討した。また、効果理論それぞれの定義に基づいて対応づけられた、非社会的行動についての質問項目の設定を検討した。さらに、子どもの友人関係について、特にビデオゲームについての友人との利用についての測定尺度を検討したところ、ネットゲームにおけるネット上の友人関係が、同年齢集団とは限らないために、どのようにネット上の友人関係を測定するかについて検討を行なった。
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