本研究は、子どものメディア暴力への接触行動を、メディアに応じて、子どもの非社会的行動への効果がどのように表れ、さらにその効果を媒介するものとして友人関係の果たす役割について明らかにすることを目的とした。効果を測定する尺度としては、子どもの発達に応じた非社会的行動の尺度を用いた。研究対象はテレビ暴力番組視聴に加えて、インターネットとテレビゲームも扱い、さらに子どもの友人関係の役割を調べることにより、メディア暴力についての統合的な知見を得た。数種類のビデオゲーム機器と対応したビデオゲームソフトの利用を調査対象とすることにより、子どものビデオゲームソフトの利用実態から調査を実施した。メディア暴力の基準は、基本的に佐々木(1991)によるテレビ暴力番組の定義を用い、ビデオゲームソフトの利用能動的暴力に応用し、定義に基づき接触しているメディア暴力を選定した。1)メディア接触行動:Schrammら(1961)の現実志向、空想志向の定義に基づき、Furu(1971)が用いたアンビバレンスの測定尺度、Klapper(1960)の逃避的メディア内容の機能に関する尺度などを主に参考に、収集した文献等に基づき、質問項目を作成して測定した。2)非社会的行動:効果理論それぞれの定義に基づいて対応づけられた、非社会的行動についての質問項目を設定して測定した。3)子どもの友人関係について、インターネットゲームとビデオゲームについて、現実の友人の関係とゲームの利用、及びゲーム上での人間関係とゲームの利用についての測定尺度を設定して測定した。1)2)3)の測定尺度について改めて、予備調査をおこない、質問項目を修正して本調査を中学生を対象に実施した結果、メディア暴力において、テレビ暴力番組接触と子どもの非社会的行動との間には関連がないが、ビデオゲーム行動と子どもの非社会的行動との間には関連があること、及びその関連を媒介するものとして子どもの友人関係が存在することが明らかになった。
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