本研究の最初の年である本年度は研究の第一段階として下記のことを行った。 1.日本と英国において音楽教育における身体の動きに関する論文・資料と共に、音楽心理学や音楽美学、身体論の文献を収集し分析を行った。これらの分析を通して、音楽教育における音楽と身体の関連性の理論的な枠組みの構築を行ったが、これらの知見を第5回Asia Pacific Symposium on Music Education Researchと第36回日本音楽教育学会大会・12月に開催されたオルフ音楽研究会例会において、前者はスワニック・ティルマンの音楽発達モデルと関連させて、後者はダルクローズ・リトミックとオルフ・シュールヴェルクの音楽教育法の比較という観点から公表した。 2.日本において音楽と動きを取り入れた授業に定評のある教師の授業観察を開始し、きらに音楽と動きの授業に関する視聴覚資料の収集を開始した。身体運動を取り入れた音楽教育の代表的研究機関である、日本ダルクローズ音楽教育学会とオルフ音楽教育研究会において、数多くの教育実践者や研究者と交流を行い問題の所在や課題について考察した。 3.2005年11月2日から12日まで渡英し、ロンドン大学教育研究所の図書館において資料収集を行った。同研究所・音楽学部のグラハム・ウェルシュ教授の協力を得て、2006年9月に計画しているイギリスの小学校におけるフィールド調査の下地作りを行った。 4.交付申請書の(3)の研究実施計画であった、初等学校の音楽科においてどのように身体動作が授業に取り入れられているのか、ということについての東京を中心とする約300校を対象にした音楽教師へのアンケート調査については、本研究代表者が9月から10月にかけて入院・手術・手術後の療養をしたため、実施することができなかった。2006年度に延期して実施することにしている。
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