本研究の2年目にあたる本年度は、研究の第二段階として、下記のことを行った。 1.前年度の研究を踏まえ、音楽活動および音楽経験の構成要素である、演奏する、創る、聴く、という3本の柱において、身体の動きがいかに関わっていけるのか、ということについて、学習指導要項およびナショナルカリキュラムに関連する資料、教科書、テキスト等を収集し分析を行った。さらに、民俗音楽学、音楽美学、音楽心理学、および身体に関する文献研究を行い、先の分析の裏づけとなる理論について考察した。 2.交付申請書の(1)の研究実施計画であった、東京を中心とする約300校の小学校の音楽教師へのアンケート調査については、1.においての研究分析の結果、不特定多数の教員を対象に行うよりも、実際に動きを積極的に取り入れているできるだけ多くの音楽教員との面接により、その背後にある教育観をも含めて分析する必要があることが明らかになったため、実施を見送ることにした。教師との面接と授業観察を通して、質的なデータを収集した。 3.2006年9月14日から30日まで、11月1日から11日まで渡英し、ロンドン大学教育研究所の音楽学部資料室および図書館において資料収集を行った。滞在の期間中、同研究所のグラハム・ウェルシュ教授に全般にわたって研究に関する助言を受けた。さらに、9月25日、26日、11月8日には、レティング大学で音楽教員養成に携わっているメアリ・ステイケラム講師にイギリスの音楽教育カリキュラムおよび、小学校における音楽教育の実践に関する専門知識および専門情報の提供を受けた。 4.イギリスにおける学校訪問については、本年度より外部より学校に訪問する者に対して、イギリス警察当局による事前身分調査が義務つけられている旨が、ロンドン大学教育研究所の関係者から伝えられたため、頓挫している。個人申請ができないため、方法を検討中である。
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