研究概要 |
4月14日,15日に佐渡の鬼太鼓(おんでこ)の調査を行った。旧両津市春日町の鬼太鼓「春日組鬼太鼓」に在米日系人のプロの和太鼓奏者が研修として参加しており,地元奏者との比較ができたために興味深い事象が見いだせた。在米日系人の和太鼓奏者もプロとして高い技量をもっており,在米日系人奏者は一度模範演奏を聴けば一回で再現できるだけの技量を有している。地元の奏者と在米日系人の演奏を録音し,ProtoolsによりIOIの計測を行った。その結果,付点音符(例えば付点四分音符+八分音符)に相当するリズムの比の値が地元の奏者は3.3:1,在米日系人は3.6:1であった。このことは地元の奏者に比べて在米日系人が長い音符はより長く,短い音符はより短く演奏する傾向が示唆されるものと考えられる。この研究は教育人間科学部紀要にまとめた。また,さらに分析を進め「日系三世と地元民の和太鼓演奏の比較」,日本音楽知覚認知学会,平成18年度秋季研究発表会において発表を行った。これらは継続して行い学会誌に投稿するよう準備を進めている。 また,本研究に協力者として関わっている学生の研究として,同じ旋律で日本語と英語の歌詞がつけられた曲を比較した研究も行った。この研究は「英語と日本語の歌の比較によるリズムの取り方の傾向」浅井泰子,新潟大学教育人間科学部学校教育課程音楽教育専修卒業論文としてまとめられた。今後共同研究として学会等で発表する予定である。 9月25日,26日,富山県南砺市五箇山で行われる「こきりこ祭り」を取材した。それと関連して附属小学校で日本音楽(こきりこ節)と西洋音楽の再生実験を学生の研究という形で行わせた。これらは「児童における日本音楽と西洋音楽のリズム表現の違い」大石容子,新潟大学教育人間科学部芸術環境創造課程音楽表現コース卒業論文としてまとめられた。この研究については再度精査して継続する予定である。
|