研究概要 |
昨年度本研究に協力者として関わっている学生の研究として,同じ旋律で日本語と英語の歌詞がつけられた曲を比較した研究も行った。この研究は「英語と日本語の歌の比較によるリズムの取り方の傾向」浅井泰子,新潟大学教育人間科学部学校教育課程音楽教育専修卒業論文としてまとめられたが、それを本年度日本音楽知覚認知学会全国発表大会で発表し、大学紀要で論文にまとめた。英語をはじめとした外国語は発音される音に長短が混合するシラブル構造だが、日本語はモーラ構造、すなわち母音と子音を一まとまりとする音が、等拍で発音されることによる影響が考えられるという内容である。日本人のリズム感の特異性を説明するのに説得力があり、音楽教育の方法論にも大きな影響があると考えられる内容であり、今回の研究において重要な成果ではないかと考えている。 また、昨年度か行って成果のでた佐渡鬼太鼓の調査は本年も継続して行い、さらに何らかの材料がないか探っているところである。今のところ集団と音楽などの社会性の関連などが見いだせているが、継続した調査の必要性を感じている。さらに、本年度は富山市おわら風の盆の予備調査も行ったが、ここで使用される音楽も本研究の分析材料に相応しいと考えられることがわかった。継続して調査を続け、分析を行う予定である。 これらの研究から何故、日本の子どもが演奏するリズムの面から西洋の曲をうまく演奏できないことなど、音楽教育におけるリズムの問題点の一端、日本人の特異なリズム感がある程度明らかになってきたと考えている。
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