研究概要 |
本研究は12音律の各半音の中間音程=「微分音」が日本人の音楽的感性に存在することを確かめ,また,同様にリズム感性の特徴を明らかにすることにあった。しかし、この方面での有意義な特徴はまとまるに至らなかった。他方リズムに関しては日本人と日系米国人との差異、同じ旋律で日本語と英語の歌詞で至った場合の比較など少しずつではあるが有意な結果が出始めた。 平成20年度は本研究に関しての有意義な結論は得られなかったが、佐渡の調査などから次年度につながる有意義な手立てを得られることが出来た。具体的には佐渡豊岡地区、大野地区を調査したが、これらの地区は教育面でも重要な示唆を与えてくれる可能性があるために、平成21年度当初に時間をかけた調査を行うことにした。またそれに加えて平成17年度に調査した両津地区も再調査することにした。実際に調査した結果から、太鼓のリズムの変化についての成果等が発表できる見通しである。例えば、太鼓のリズムは複雑なリズムから単純なリズム移行する現象を発見できた。すなわち父親世代では付点のついた変化のあるリズムが、何故か息子世代では付点リズムが少なくなり、リズムの単純か、等拍化の現象が複数の事例で発見できた。現在このことが何で起こったか調べている段階である。可能性としては方言の標準語化等など影響が考えられるが、言い換えれば音楽表現において単純化が起こっているとも考えられる。小さな事実であるが見逃せない大きな事柄を含んでいる可能性もあり、原因如何によっては今後の音楽教育のあり方や文化行政などに大きく関連してくると思われる。
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