研究概要 |
平成18年度は,学習過程における意味形成の活動単位の構造分析と,これに基づく学習活動開発と実践,活動事例の臨床的検証を行った。 (1)児童・生徒が,活動過程の各場面で,もの,他者,自己の活動や経験の3層とかかわり合いながら関係形成を行う活動単位の事例研究を,以下(a) (b)の視点により進めた。(17年度研究の継続) (a)もの,人,活動との相互作用・相互行為による活動システムの変容過程の分析 (b)活動過程における文化的意味,社会的関係,活動の意味の相互的形成構造の分析 (2)(1)により明らかになった活動単位に基づく学習活動の開発実践,臨床的検証を行った。 その結果以下のことが明らかになった。 (1)については,理科,道徳,体育,図画工作の学習過程より,行為者である子ども(学習者)が,活動状況の場や道具を媒介として他の学習者の媒介された行為へと働きかけ,活動単位の重層化や複合化が起こり,もの,ひと,行為の実践上の関係(意味)がつくられていく<複合的活動単位>とその生成構造。 (2)については,中学校数学,小学校図画工作科,体育科,道徳での研究開発を進めた。その各活動過程における,(1)もの,こと,人の関係が相互的に生成される活動単位と複合単位の関係構造,(2)文化的対象世界の成立と活動の出来事世界の相互生成的な成立関係,(3)文化的活動を協働生成する社会的実践の関係形成について,臨床的に検証した。 平成19年度は,意味形成の活動単位の視点にたった教師の,(1)学習活動計画の作成の在り方,(2)学習過程における臨床的関与(指導と評価)の視点と在り方について,活動開発と臨床的検証をもとに研究を進める予定である。
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