研究概要 |
(1)「モデリング」の概念枠組みの精緻化に関する成果 モデリングプロセス「定型化→モデルによる結果の生成→現実世界における,結果の解釈・評価→再モデリング」のうち,特に,「定型化」の部分はモデリングプロセスの第一歩であり,プロセス全体の基幹を成すものである。学校教育で子どもがモデリングに取り組むことができるようにするため,「定型化」を次の諸相に分化した:事象の混沌とした状態を観察し,全体の傾向や特徴をつかむ段階/仮定を設定することの必要性を理解する段階/仮定を設定し,変数や変数間の関係について理想化・単純化,捨象・近似を行う段階/事象を目的に合った数学的な問題場面に作りかえる段階。また,「解釈・評価」の部分については,モデリングプロセスに取り組むのが子どもであるという点を考慮し,学校教育で子どもがモデリングに取り組むことができるようにするため,「解釈・評価」を次の諸相に分化した:モデルによる結果から予想を得る段階/予想の妥当性を検証する段階/予想を現実の世界に適用・応用して実際の解決を図る段階/事象の複雑さの整理をしていく活動に戻り,あらためて現実の世界のよりすすんだ解決を図る段階。 (2) 現象のモデリングに関する教材開発 理科や技術科で考察される事象の振る舞いを3次元動的幾何ソフトでモデリングする教材を開発した。そして,"表現する対象"と"制作における方法"とに着目し,表現する対象としての観点に"数学"と"現実",制作における方法としての観点にKnowing-That(‥ということを知っている)とKnowing-How(いかに‥するかを知っている)を組み合わせることによって,子どもによる事象の振る舞いのモデル化をとらえる枠組みを構築した。
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