研究概要 |
本年度は,「真正の評価(Authentic Assessment)概念に基づく社会科学習評価の一考察-外国人労働者問題授業のレポート分析を手がかりとして-」を『大阪教育大学紀要第V部門教科教育第54巻第1号』に発表した。資料収集,調査研究としては,9月にU.S.A North Carolina州Wilmington)の小・中・高等学校を訪問し,授業参観した。評価研修制度や評価の実際について,Ashley High Schoolで指導にあたっているMark Whitehead氏と情報交換を行った。国内においては,棚橋健治(広島大学),鈴木秀幸(静岡県立二俣高等学校)氏らから評価研究の基礎理論を直接,教授していただいた。6月には山口県教育センターにおいて,中・高等学校歴史科担当の教員を対象に評価問題のモデレーションを行い,その分析結果を日本社会科教育学会第55回全国研究大会(日本大学,10.9)自由研究口頭発表及び『発表論文集』第1号に紙上発表した。10月には,「社会科歴史的における思考力評価問題テストの開発」について第54回全国社会科教育学会研究大会(広島大学,10.30)で口頭発表した。成果の一部を日本教育評価研究会「指導と評価」vol.55,図書文化誌に「目標の具体化と評価問題ペーパーテストを中心に(小学校社会科)」として発表した。真正性,本物の評価は,最近の英・米の評価の潮流であり,目標と評価の一体化のみならず,カリキュラム,方法,教材,授業と評価が整合性を持っている概念ととらえられる。しかし,目標とカリキュラム,アセスメント評価など断片的には紹介されているものの,教材と授業と評価の実際は,現段階では具体的にはいまだ手がかりを得られていない。国内の研究者の研究動向を踏まえながら,従来の社会科固有の学力モデルとは異なる学力モデルの提出と,社会科学習評価の研究方法の開発を目指したい。
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