研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、「日本人としてのアイデンティティ」と「国際性」の視点から、日本の伝統的文化の価値を生かした教育改革を目指して、学校現場で実践可能な日本の伝統的文化に関する教材を開発し、実証的検討を試みることである。具体的には、保健体育科・総合的学習の時間において、日本の伝統的文化の身体技法を中心とした教材開発を試みるものである。本年度の目的は、まず初年度として、日本の伝統的文化に共通する「身体技法」の動作や所作等に関する文献資料の検討を行うことであった。また、本研究課題を遂行する上で、日本の伝統的文化としての芸道に関する資料収集は不可欠であった。したがって、文献的検討に加え、芸道の求道者を対象とし、その実践に関するインタビューと参与観察を実施し、そこで得られた実践的資料の検討を試みた。その主な結果をまとめると、次のようであった。日本の伝統的文化に関する文献資料を検討した結果、日本の伝統的身体技法として、「腰を入れる構え」が重要であることなどが明らかになった。また、体育科教育の観点から、近年「体ほぐしの運動」で注目されている「野口体操」の実践指導者へインタビューを実施し、その資料を検討した。その結果、日本の伝統的身体技法である「腰を入れる構え」に通じる、内に秘められた身体の「重さ」の感覚や、身体感覚としての「ほぐし」が重要であることなどが明らかになった。さらに、芸道の視点からは、能楽人間国宝へのインタビューと本研究者の参与観察によって検討した。その結果、身体技法としての「腰を入れる構え」が重要であり、伝統的芸道においては、「稽古」での非言語的模倣中心の教授・学習方法の存在が確認された。
すべて 2005
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Proceedings of The International Conference for the 25^<th> Anniversary of the Japanese Society of Sport Education
ページ: 87-92