本研究は、日本の伝統的文化の価値を生かした教育実践を目指して、学校現場で実践可能な日本の伝統的文化、特に、日本の代表的な伝統的身体文化の一つである日本舞踊を対象とした教材開発を行い、実証的検討を試みるものである。 本研究は、3年間の研究計画で実施した。具体的には、第1年次では、「日本の伝統的文化」や「身体技法」とそれらの教育に関する文献・資料の検討を実施した。さらに、芸道の求道者を対象とした、その実践に関するインタビューと参与観察を実施し、そこで得られた実践的資料を含めて、検討を行った。 また、第2年次では、「日本の伝統的文化」の「身体技法」の検討、具体的には、「日本の伝統的文化」に共通する「身体技法」として、「足の運び」を、日本舞踊の動作から取り上げ、動作分析を行った。その結果、他の身体部位はほとんど動かさずに、膝の屈曲という「腰を入れる」動作により、重心を低く保って、歩行している様子が明らかになった。 第3年次では、最終年度として、前年度までに得られた日本の伝統的文化やその教育に関する文献や資料、さらにその身体技法のメカニズム等の研究結果に基づいて、日本舞踊の伝統的文化としての意義や身体技法を中心とした教材開発を行い、試案を作成した。そして、その教育プログラム試案について、実際の教育現場(高等学校や大学の授業)において実践を試み、学習の成果を検討した。その際、日本の伝統的文化の求道者としての体験的な省察を交えながら、総合的に試みた。 以上のような研究内容の詳細については、報告書として作成した別冊子に示した通りである。
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