研究概要 |
本研究はものづくりを中心とした体験型学習プログラムの開発を目的とし,学外の機関や地域との連携による技術的指導体制を確立し,実践活動を通して子供達との交流を深め,教員養成における技術教育指導者の資質向上を確実に図る. 初年度では,ものづくり体験活動の題材開発に重点を置き,幼稚園児・小中学生を対象とし,身近で,リサイクル可能,かつ加工しやすい材料を選定し,ユニークな加工技術,チャレンジ精神の育成を視野に入れた製作品として,圧縮木材のストラップ飾り,ダストスタンド,スパイスラック,木製からくりオモチャ,アクリル板のキーホルダー,知恵の木,CDホバークラフト,発泡板のCDラック,ケナフのアクセサリー,アルミ笛,モビール,アイロンビーズ,牛乳パックの小物入れなど,計13種に絞った. ものづくり体験活動の実践としては,「くまもとものづくりフェア」を企画し3回開催した.夏休みと休祭日を利用して,熊本県伝統工芸館と熊本博物館を会場とした.大学教職員と学生・院生,技術・家庭科教師,熊本県技能士会員,EMS社員,伝統工芸館ゆずり葉の会のメンバーで総勢60人から,ものづくりの共同技術指導体制を作り上げた。三日間の来場者は920人に達し,一人あたり平均2〜3種類の製作を体験し,約2000個を完成した. ものづくりの題材開発,フェアの準備,製作指導に携わった学生・院生からの感想では,「子供達と一緒にものづくり活動を体験して,教職のやり甲斐を感じた」,「教育実習或いは教師になってからお世話になる先生方と親しくなれたのも嬉しい」,「先生方の指導技術のすばらしさを実感した」などが挙げられた. 一方,地元のマスコミ各社からもくまもとものづくりフェアを新聞テレビ等で大きく取り上げ,ものづくり教育の啓発活動に大きな波及効果が見込まれる。 本研究で行われたものづくりフェアは,大学と中学校の教師間の連携により教員養成の充実を図り,現職の教師と学生の交流,他団体との協力による地域教育力の向上に期待が持てる.さらには,幼稚園・小学校段階から,ものづくりに親しませ,興味関心の増進に留まらず,製作に関わる基礎知識と基本技能への学習意欲の喚起,中学校技術・家庭科の教育基盤作り,技術的課題解決能力の系統的な育成において意義が大きい. 次年度からも,カリキュラムのさらなるの充実を目指し,ものづくりフェアを年2回程度開催し,地域に根ざした教育研究活動を継続していく予定である.
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