研究概要 |
『質的研究』では,授業という文脈を重視した指導過程の研究を行う。また,子ども個人の内面の変容に着目し,図形概念の認識過程を解明するための現象学的研究を行う。今年度は,授業構成原理,及び図形指導モデルを構築し,それらを用いて図形授業過程について検討した。 「図形概念に関する認識論的研究 -図形指導の原理を求めて-」は,図形概念に関する認識論的研究に基づいて図形指導の原理を構築すること目的としている。図形概念に関する認識論的研究では,教材,子ども,教師という授業構成の3要素それぞれに対応した数学的研究,心理学的研究,教授学的研究を行った。そして,教材観と児童・生徒観を踏まえて教師の指導観を考えるという授業構成過程に対応させることで,図形指導原理を構築し,確かな図形概念を育成するための図形指導モデルを設定した。 次に,平成20年1月から2月において実施された小学校第4学年「三角形」の単元の授業をつぶさに観察し,子どもの図形認識過程について分析した。個人的図形概念から数学的図形概念への変容,図形概念のイメージ化から言語化への指導,図形概念の指導にともなう図形感覚の育成,理解の様相モデルに基づく図形概念の認識過程の規範化という4つの図形指導原理,及び図形指導モデルに基づいて,子どもの図形認識を質的に研究し,図形授業過程の精緻化を図った。
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