研究課題
基盤研究(C)
発達性読み書きに関連して次のような研究を行った。1)発達性読み書き障害の1症例に見られた平仮名読みにおける意味的処理と音韻処理の検討。2)視覚認知上の困難を示した症例の読み書き困難の発達的推移。3)平仮名読みに困難を示した2事例への読み指導と認知特性。4)健常中学生および英語学習困難中学生の音韻・視覚認知の特性と英単語読み指導の効果。5)実験協力を申し出た被験者(小学生〜高校生)を対象に読み書き障害特徴該当数と音韻・視覚認知課題成績との関係。結果は、次のようなものであった、1)では、平仮名読みにおいて意味的な処理は保たれていたが音韻をまとめる能力の困難が青年期においても残存していた。2)では、小学低学年においては読み書きともに顕著な困難を示したが、学年進行とともに読み書き自体の問題は改善した。3)では、音韻的処理に顕著な障害を示した事例で、指導による効果が認められなかった。4)では、無意味語読みに弱さを抱える被験者であったが、フォニックス指導により英単語読みに顕著な改善が見られた。5)では、ディスレクシア特徴チェックリストと複雑図形の記銘再生・文字読み速度・イラスト呼称速度・音韻操作課題等を実施した。小学校低学年においてディスレクシア特徴該当数と平仮名一文字・有意味語・無意味語の読み時間との間に比較的強い正の相関が見られた。また、小学456年生では、該当項目数と無意味語の読み時間においてのみ比較的強い正の相関が見られた。一方、モーラ抽出・Rey複雑図形記銘再生の成績との間には相関が認められなかった。一連の結果は、読み書き障害における文字→音符号化速度か音韻統合、またはその両者の問題を示唆すると考えられる。
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弘前大学教育学部紀要 99
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Bulletin of Faculty of Education, Hirosaki University 99
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