研究課題
基盤研究(C)
本研究は、小学校通常学級担任教師への質問紙調査と事例調査を基に、通常学級に在籍する軽度発達障害児の気になる・困った行動が生じやすい環境条件の特徴を明らかにし、通常学級の教育活動を単位として、それらの行動の生起を予測するアセスメント方法を検討することを目的とした。質問紙調査は、G市48の公立小学校の通常学級担任を対象に、平成17年11月に行われ、98%の回収率であった。対象児童は、通常学級に在籍する軽度発達障害児で、学級担任にとって指導困難な行動を示す児童を各学級3名、計488名が挙げられた。全国実態調査の基準も踏まえて456名を分析した。調査項目は学級に関する7項目と対象児童に関する12項目で、分析には統計解析ソフトSPSSを使用した。その結果、(1)最も気になる・困った行動は、上位から「不適切な会話」、「取り組まない」、「かかわり」等の集団活動や対人関係を阻害する行動が挙げられた。(2)最も生じやすい場面は「授業場面」7割。生じやすい場面の特徴を回答率20%以上の項目からみると、「相手や周りに合わせる活動」、「言葉の説明で行う活動」、「概念を理解し、考える活動」等8項目が挙げられた。(3)最も生じにくい場面は「休み時間」4割。生じにくい場面の特徴は、「好きな活動」、「自分のペースでする活動」、「ルールの単純な活動」等6項目が挙げられた。事例調査は、G市10の公立小学校通常学級において、各学年1名抽出された対象児童54名を対象に、研究者の行動観察と学級担任への聞き取りにより行われた。対象児童の「取り組み」、「不適切な会話」、「かかわり」等の問題を対象とした「授業場面」42名について、(1)「教師が説明や話しをしているとき」、「教師がかかわっていないとき」に生起し、それに対して「繰り返し促す」、「対応しない」がとられ、結局「課題に取り組んだ」のは6割ほどであった。(2)「関心のある発問をする」、「教師が側に来て個別対応する」等で課題に取り組み、それに対して「誉める」が6割ほどであった。(3)活動参加は「説明を聞く」、「課題に取り組む」で低く、(5)現在の対応は「全体の中での個別の対応」、「席の工夫」等が上位に挙げられたが、行動の改善は半数、活動参加の改善は6割であった。以上の研究結果を基に、通常学級の「授業場面」を中心として、気になる・困った行動の生起を予測するアセスメント項目について検討した。
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