特異な事例の抽出として、Williams症候群児(WS児)に対する学習支援を行った(鹿児島高次脳機能研究会会誌、17(1)、2006)。対象児は、K-ABCの数唱課題の記憶スパンが2であり、カウンティングや、指示された数の事物を取り出すことは困難であった。そのような児において、3項目の絵カード記憶課題が可能となった点は、WS児における聴覚音声的語彙が、概念形成の媒介機能を果たす可能性が高いことを示唆した。 また、Williams症候群児(WS児)における言語の媒介機能の特徴についてポスター発表を行った(日本特殊教育学会第44回大会発表論文集、2006)。研究の結果、WS児の特異的な聴覚音声能力の高さが、言語による行動調整機能や概念機能の促進要因となりうることを示唆した。特に、表象の獲得に伴い、種々の機能が獲得された点からは、対象児にとって意味理解が可能な語を特定し、それを中心とした指導が必要と考えられた。
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