研究課題
基盤研究(C)
健常幼児及び知的障害児を対象にドットパタンのマッチング課題を行った結果、計数結果の言語化が求められない同一マッチングが、サビタイジングを検討する上で有効な方法である可能性が指摘できた。これらから、計数によって取り出すことが困難である大きな数を、サビタイズ可能な小さな数に分解して援助することによって、言語機能が未発達な知的障害児の援助として有効である可能性が示唆された。重症心身障害児・者を対象に、日常生活場面における期待表出の特徴と発達段階に関して質問紙による検討の結果、期待表出の観察が、重症児者のコミュニケーションの初期発達評価として有効であった(検討1)。また、重症児2名を対象に、種々の働きかけに対する期待反応の評価を心拍反応に基づいて検討した結果、コミュニケーション領域の発達年齢が8ヶ月未満の児に対する音刺激の呈示条件を統制した場合に、期待反応が促進された(検討2)。さらに、検討2のA児を対象に、期待形成とYesの意図伝達の獲得プロセスを縦断的に検討した結果、二次的期待反応の獲得と関連して、やりとりのあるコミュニケーション場面での行動調整が可能となること(検討3)を明らかにすることができた。形態的誤りを特徴的に示す学習障害児を対象に、絵と漢字の見本合わせ課題及び漢字の捻り画像の見本合わせ課題を実施した。対象児は、視覚情報処理が聴覚情報処理と比べて優れる特性から、意味的情報が視覚的に示されたことで、漢字と意味との連合が速やかに学習されたと推測される。また、捻り画像の見本合わせ課題の効果は、漢字の細部に及ぶ視覚的注意を喚起したことにより、漢字の改善が生じたことが推測される。このように、書字の直接的訓練を介さずに効果が得られた点は、書字を苦手とする児童についての学習の負担を軽減でき、情報の言語化を介した指導が困難な学習障害児に対する指導として、有効である可能性が示唆された。いずれも特別支援を要する児童・生徒に対する脳と行動との関連を認知心理学的視点から、また、神経心理学的視点から明らかにした研究であり、基礎的研究をベースに事例的・臨床的に発展させた研究である。
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