研究概要 |
1.目的 (1)文献調査により、理学療法目標の概念および既存の目標設定方法を整理する。 (2)(1)を踏まえて「目標設定および達成度評価法」を考案する。 2.方法 (1)文献調査:データベースはMEDLINEとCINAHLを用い、goal setting, goal attainment, patient centeredなどのキーワードにて検索した。 (2)目標設定・達成度評価法の検討:既存の方法を踏まえて理学療法士(PT)3名とリハビリテーション認定医1名により検討した。検討の結果考案された方法を試用した後、修正を行った。 3.結果 (1)検索された63論文を検討した。米国PT協会によるガイド(1997)では、目標は「機能障害の改善と必要な期間」に関連付けられるとしている。近年の論文ではfunctional goalsやbehavioral goalsなどの用語を用い、日常生活活動・社会活動・余暇活動などを含めて論じられていた。既存の目標設定方法は、目標設定プロセスへの患者関与の度合いを評価するThe Patient Participation System(Paytonら1990)、関節リウマチ患者を対象としたGoal Forum Intervention(Arnetzら2004)、目標達成度を評価するGoal Attainment Scaling(Kiresukら1994)などが認められたが、外来の脳卒中後遺症者に焦点を当てた方法は見当たらなかった。 (2)目標設定・達成度評価法の検討:以下の3つの書式を考案した。(1)目標チェックリスト:患者とPTそれぞれが目標にしたい項目をチェックする、(2)目標記録シート:話し合いの結果決定した目標を記載し両者が確認する、(3)目標達成度評価シート:目標達成度を両者で定期的に評価する。 4.考察 (1)文献調査より、理学療法目標について、近年では社会活動・余暇活動なども含めて広く捉えられていた。既存の目標設定方法には外来脳卒中後遺症者に焦点を当てた方法は見当たらず、検討の必要性が確認された。 (2)今後の課題は、今回考案した方法を臨床応用し、その効果を検討することである。
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