研究概要 |
本年度は3年計画の最終年度に当たる。本プロジェクトで開発した視覚障害者用リーディングサポートソフトreadKON及び語彙サイズテストkobaTESTを活用した具体的な授業プログラムを作成した。両ソフトとも英語合成音声(TTSシステム)を利用しているが、本年度はより音質面、発音の明瞭度を高めた。授業としてはリーディングとライティング・スピーチ訓練においてオリジナルソフトを活用し、成果を検証した。特に、スピーチ指導においてTTS活用の成果が顕著に見られた。その結果をまとめ、以下のように国内外において研究成果として発表した。 1.Kazuko AOKI,Hiroshi Katoh,Makoto Kobayashi,"Effective Use of Text-to Speech Technology(TTS)for EFL learners of Japan",EUROCALL2007,2007 9、北アイルランドUniversity of Ulster 2.青木和子、加藤宏、「Text-to-Speech(TTS)技術を活用した英語スピーチ指導-視覚障害学生のための新しい英語学習法の確立を目指して-」日本特殊教育学会第45回大会、ポスター発表(P2-57)2007 9 神戸国際会議場 1は視覚障害とは直接関係のない英語の国際学会である。一般的には外国語学習におけるTTS活用に関する研究は始まったばかりという状況であるため、視覚障害者のTTS活用から生まれた本プロジェクトの成果に対し多くの反応があった。最新の第二言語習得研究においても音声言語のリーディング能力への転化が注目されており、本来視覚情報を補うものとしてのTTS活用から開発されたreadKONが単なる情報保障システムとしての機能を超えた学習効果をもたらすことを証明した。今後更なる活用の場面が広がることも期待できる。別冊報告書のまとめとしても記載したが、本研究のまとめとして英語教育関係者に次の提言をしたい。「リーディング力の劣る、すなわち英語読速度(リーディングスピード)の遅い学習者に対し、TTS等の技術を活用し音声言語の処理能力を高め、リスニングの標準スピードである150WPMに限りなく近づけるためのリーディング学習法、訓練法の開発こそ、全般的英語力向上のために必須である。」
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