本調査結果を一言で言えば、障害学生への大学内における就職支援・就労支援は、ほとんど未整備状態であり、大学外の組織、あるいは障害学生自身の取り組みに、全面的に依存している、ということである。大学が卒業生を就職させていく責任に対して異論を挟む者はいないが、それはあくまでも健常学生に対してであり、障害学生については必ずしもそのような意識があるわけではない。特に、障害学生への就職活動支援についてのノウハウがないことが、その理由の第一にあげられる。就職活動の原則は、学生を相手、つまり採用者側にどれだけ理解してもらうか、であるが、そもそも、障害学生を大学側就職担当者が理解していない現状では、相手への説明は無理である。障害者とはどのような特性を持っているのか、何ができるのか、何ができないのか、どうすればできるのか、などが理解されていない。そしてこのことは、同時にインターンシップにおいても言えることである。調査結果から明らかなように、インターンシップ先の開拓は、個々の教員の個人的なつてによっており、大学としての就職課などによる"公的な"働きかけで開拓されているものではない。インターンシップは、経緯としては職業体験の一つの方法として始まったが、この様な方法は、実は、障害学生にとっては、とても重要なのである。先に、大学の就職担当者が障害学生のことを知らないと記したが、それは事業所の採用担当者にしても大同小異である。その事業所の中で、何ができるのか、障害者を採用してやっていけるのか、を知らないので、それを知るための一つの大きな機会として、このインターンシップは、極めて重要である。障害者の能力とはどんなものなのか。これを知るための絶好の機会としてとらえるべきである。
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