研究分担者 |
小野 薫 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20204232)
中村 郁 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50022687)
島田 伊知朗 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10235616)
吉田 正章 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (30030787)
寺杣 友秀 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (50192654)
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研究概要 |
射影直線の8点で分岐する巡回4重被覆で得られる代数曲線族のモジュライ空間は、その代数曲線のPrym多様体を考察することで、6次ジーゲル上半空間に埋め込まれた5次元複素超球に実現することができる。その逆対応は5次元複素超球上の105個の保型形式を用いて記述されることが知られていた。ジーゲル上半空間上のテータ関数たちに対して、有理数係数のシンプレクティック群のいくつかの元の作用に関する変換公式を導き出すことにより、上記の105個の保型形式をテータ関数を用いて具体的に表示した。 I_<r,r>型領域上の虚2次体のいくつかの整数環R上で定まるテータ関数に対して、それらがみたす2次関係式をD_4型格子とE_6型格子の性質を利用して見つけ出すことに成功した。r=2,Rがガウス整数環Z[i].の場合には、射影平面の6本の射影直線で分岐する2重被覆から得られるK3曲面族のモジュライ空間に深く関係している。 ホワイトヘッド絡み目やボロミアンリングの補空間には双曲構造が入ることが知られていて、その空間たちは実3次元上半空間をSL(2,Z[i])の指数有限の部分群W, Bの作用で割ったものとして実現される。実3次元上半空間をI_<2,2>型領域に埋め込み、その上のテータ関数を用いてWやBの作用で不変となる実3次元上半空間上の実解析的な関数を多数構成した。それらの関数を用いて実3次元上半空間をWやBで割ってできる商空間たちをユークリッド空間に埋め込めることを示し、その埋め込みによる像を決定した。その際に、I_<2,2>型領域上のガウス整数環上で定まるテータ関数のみたす2次関係式を巧みに利用している。
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