研究概要 |
本年度に得られた成果は以下の通りである。 1)算術幾何平均の研究。1799年にガウスによって得られた算術幾何平均に関する三位一体定理は、その後直接の拡張は発見されていなかった。 近年では、パリ大学のMestre, Bostまたオランダ・ライデン大学のEdixhovenらがこれらの研究に関わってきたが、1991年JonathanおよびPeterのBorwein兄弟が超幾何函数F(2/3,1/3,1;x)を用いる3次算術幾何平均を発見して、上記定理のvariantを導いた孤立した結果が唯一の成果であった。昨年度、研究代表者らは山梨大学の小池健二氏と協力してBorwein兄弟の結果を2変数に拡張する結果を得た。これを橋頭堡として、今年度はGaussの算術幾何平均の2変数版の構成に成功した。 2)超幾何微分方程式の研究。これまで続けていたFrankfurt大学J.Wolfart氏との共同研究で超幾何微分方程式のシュワルツ写像の研究をまとめた。 3)修士大学院生丸山敬弘氏との共同研究でUtrecht大学Fritz Beukersが行っていたRamanujan-Nagell型のディオファントス方程式の変形版について新しい結果を得た。すなわち、与えられた整数Dに対して x^2+D=25 2^n の自然数解(x,n)を考える。このときnの上限を得る有効な評価式を得ることができた。とくに、複数の解を有するDの現れ方はBeukersの場合とは性質が異なり興味深い。
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