研究概要 |
関数等式を持つ一般のゼータ関数に対して,対応するモデュラー関係式を,G-関数やH-関数を係数とする形で研究し,非常に一般的に定式化することができた.これは金光-塚田と共に論文としてまとめた.そこでは,1954年のコシリャコフの画期的な仕事や,バーント,ヴィッガート-ベルマンのなどの結果が我々の定理の特殊な場合として定式化できることが示されている. リーマンゼータ関数の関数等式の証明に,cot-関数の部分分数展開を用いるものがある.簡単なことであるが,これら2つのことが同値であることに気づいた.cot関数の部分分数展開のようなベーシックで易しいものから関数等式のような深いものを出すというのが常識的な考え方であるが,実は同じ深さを持つものである.更に,リーマンゼータ関数の関数等式からフルヴィッツゼータ関数の関数等式を導く新しい証明方法を発見し,後者から直接cot-関数の部分分数展開を導いた.またlogΓ(x)の,0<x<1におけるフーリエ展開として有名なクンマーの公式も,リーマンゼータ関数の関数等式と同値であることがわかった. 昨年に続いて木内氏,秋山氏と共に,オイラーザギヤー型のダブルゼータ関数の,所謂臨界領域におけるオーダー評価を共同研究をした.以前は指数対を用いて,松本-石川の結果の改良を得ていたが,今回はティッチュマルシュやクラッツェルの二重ワイルシフトの考え方を取り入れ,以前の我々の結果を更に改良することに成功した.一例を挙げれば、ダブルゼータ関数の,2つの変数の実部が1/2で,かつ虚部が漸近的に等しい場合には,大きさは虚部の絶対値の1/3乗になる.これは現在論文にまとめているところである.またトリプルの場合も彼らの結果を改良することができた.
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