2006年6月の5日から11日までバンクーバーに於けるモチーフと周期に関する研究集会に出席してチャウ・キュネット分解に関する研究発表を行い、またミューレ達と代数サイクルに関する議論を交わす機会を得た。これはコホモロジーのレベルが1以下の場合にチャウ・キュネット分解に関するミューレの予想の証明を与えるものであるが、最近特異点が0次元で像が1次元であるような多様体の間の写像の場合に拡張する事が出来た。 2006年6月の17日から25日までイタリアのサン・セルボロ島に於けるホッジ理論の研究集会に招待され、超曲面のコホモロジーのホッジ・フィルトレーションに関するグリフィス理論の一般化に関するディムカ氏との共同研究の発表を行った。これは非孤立特異点を持った超曲面のブリースコルン加群を使うことにより一般化を行うものであるが、類似の理論を超平面配置のb-函数の計算に応用する事が出来、非常に有用である。実際、これとエノー、シェヒトマン、フィーベックらによる青本予想の解決とを組み合わせる事により、次元が3で次数が8以下の場合には、計算機を使ってもなかなか計算できない超平面配置のb-函数を比較的簡単に手で計算する事が出来る。 2006年10月の4日から12日までフランスのオルセイのイリュジー氏やニースのディムカ氏を訪問し、交叉コホモロジーに対するレフシェッツ公式やグリフィス理論の一般化についての議論を交わしたりすることが出来た。後者については最近、特異点が通常2重点ばかりからなる場合にベルリン大学のヴォツラフ氏による予想が提出され、これを特異点の個数が比較的少ない場合には解くことが出来たが、一般にはまだ未解決である。
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