研究目的に掲げた精密化されたサイクル写像の単射性に関しては特筆すべき成果を挙げる事は出来なかったので、研究の対象をチャウ・キュネット分解に関するミューレの予想に変更し、これをコホモロジーのレベルが1以下の場合に証明し、更に特異点が0次元で像が1次元であるような多様体の間の写像の場合に拡張した。 超平面配置のb-函数については、マルグランジュの定理の拡張をエノー、シェヒトマン、フィーベックらによる吉本予想の解決と組み合わせる事により、その比較的簡単な計算法を得た。これにより例えば次元が3で次数が8以下の超平面配置のb-函数は手で計算できる。超平面配置の乗数イデアルに関しては、跳躍係数が組み合わせ不変量であるというムスタタの予想を証明した。 超曲面の乗数イデアルに関しては、ディムカ、メゾノーブ、トレリ氏らと共に、これが非特性超平面切断への制限ど可視である事を示し、スペクトラムに関する結果を導いた。 交叉コホモロジーにおける代数サイクル類に関する花村氏との議論を発展する事により、交叉コホモロジーとコホモロジーのウェイト・フィルトレーションとの関係を一般の体の上で証明し、ウェーバー氏の結果を拡張した。 ディムカ氏と共に、通常2重点を持った超曲面の局所コホモロジーのホッジ・フィルトレーションと極位数フィルトレーションとが一般には異なる事を示し、更にこれに関連したヴォツラフの予想を特異点の数が比較的少ない場合に証明した。
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