今回の基盤研究(C)による研究は非常に実り多いものであった。まず、平成17年にはイタリアのタオルミーナで開催された第17回形式的幕級数と代数的組合せ論に関する国際学会に参加して、Stanleyの未解決問題とパフィアンの和公式についての講演をいった。平成18年にはアメリカ合衆国サンディエゴで行われた第17回形式的幕級数と代数的組合せ論に関する国際学会において分割数の母関数とAl-Salam-Chihara多項式についてのポスターセッションで研究成果を公表した。その他にもヨーロッパで開催されたSeminaire Lotharingien de Combinatoire等に参加して、多くのヨーロッパの研究者と情報交換を行った。平成17年度には、フランス共和国Universite Claude Bernard Lyon 1のJiang Zeng教授が来日し、共に京都大学数理解析研究所で開催された研究集会「組合せ論的表現論の世界」や表現論シンポジウムに参加し、研究発表を行った。また、名古屋大学大学院多元数理科学研究科の岡田聡一教授といろいろなパフィアンや行列式についての共同研究を行い、論文として発表した。また和歌山大学教育学部の田川裕之助教授とd-complete posetを拡張したhook length propertyをもつ半順序集合についての共同研究を行い、結果をまとめつつある。フランス共和国Universite Claude Bernard Lyon 1のJiang Zeng教授、Frederic Johet助教授とのHall-Littlewood多項式とその応用についての研究では、多くのRoger-Ramanujan型の等式を得、その結果を論文にまとめて公表した。この他にも、最近の研究ではTotally symmetric plane partitionsの母関数について、パフィアンや行列式で表わす式を得、Mills-Robbins-Rumsey予想の解決について大きく前進をした。この行列式・パフィアンの評価問題では、超幾何級数が大きな役割を果たすと思われ、直交多項式やAskey-Wilson多項式などの研究がますます重要になってくる。この他にも国内外の多くの表現論や代数的組合せ論の研究集会に参加し、国際的な研究者と活発な討議を行った。特に、フランス共和国のUniversite de Marne-la-ValleeのAlain Lascoux教授からはSeminaire Lotharingien de Combinatoire等において多くのsuggestionを頂いた。今回の科学研究費補助金による研究はたいへん実り多いものであった。
|