研究分担者 |
大浦 学 高知大学, 理学部, 准教授 (50343380)
川内 毅 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (30323778)
高木 寛通 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 准教授 (30322150)
土基 善文 高知大学, 理学部, 准教授 (10271090)
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研究概要 |
Xを複素数体上定義されたη次元非特異射影多様体とし,LをX上の豊富な因子とする.今回の研究課題は,研究代表者が定義した第i断面幾何種数g_i(X,L)などの断面不変量を用いて,曲面論において知られている結果の偏極多様体版が成り立つかについて調べ,これらの結果の応用を考えることが主な目的であった.3年間の研究成果として主に次の成果が得られた. 1.いくつかある断面不変量のうち断面Betti数,断面Hodge数に関する次の結果を得ることができた.これにより断面不変量の基本性質の一部が解明され今後の研究に生かされることが期待される. (1)Lが基点自由の時,b_2(X,L)=dim H^2(X,Z)もしくは0≦h^1,1_2(X,L)≦1となる(X,L)の分類. (2)Lが非常に豊富であり、かつh^1,1_2(X,L)=2なる(X,L)の分類. 2.断面不変量による応用の1つとして随伴束Kx+tLに関する大域切断の次元について考察した.今回示した結果により随伴束の大域切断に関するいくつかの予想解決に向けて一歩前進した. (1)dim X=3のとき,0〓κ(Kx+L)≦2もしくはκ(X)〓0ならば,dim H^o(Kx+L)>0を示した.またκ(Kx+L)=3のとき,m〓2なる任意の整数mに対してdim H^o(m(Kx+L))>0を示した.さらにBeltrametti-Sommese予想の一般化と思える次の結果を証明した:Kx+L_1+L_2がnefならばh^o(Kx+L_1+L_2)>0である(ただしL_1,L_2は豊富な因子とする). (2)dim X=4のとき,0≦κ(Kx+L)≦2かつKx+Lがnefならば,dim H^o(Kx+L)>0を示した.またκ(Kx+L)≧3かつKx+Lがnefのとき,m≧4なる任意の整数mに対してdim H^o(m(Kx+L))>0を示した.
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