研究概要 |
位数n^2-1の群Gのn部分集合Dが位数n-1の部分群Nに関するアフィン相対差集合であるとはG-Nの任意の元がxy^<-1>(x,y∈D)の形にちょうど1通りに表され、Nの単位元でない元はこの形に全く表せないことをいう。可換なアフィン差集合は有限体の乗法群を用いて構成される無限系列が知られている。またDに対して整数mが乗数であるとはD^mをD各元のm乗全体の集合と定義するときD^m=DgとなるGの元gが存在することをいう。今年度はアフィン差集合と乗数・群拡大の関係を中心に研究を行った。群Gを剰余群H=G/Nに関す群Nの拡大であるとみて因子団を対応させる。この因子団の2つのパラメタの一方だけをすべてのHの元を渡らせて積を作ることで1変数の関数g:H→Nが得られるがこの関数が乗数mとの関連でよい性質、例えばg(σ^m)=g(σ)^mやg(σ)=g(σ^<-1>)を持つ。これを利用して乗数mに対してmod o(g(σ))でのmの位数はmod o(σ)でのmの位数の2倍以下であることが分かる。これはmod exp(N)でのmの位数とmod exp(H)でのmの位数との関係を示す次の結果を与える。 定理 位数n^<2>-1のアーベル群Gの位数n-1の部分群Nに関するアフィン差集合か存在すればnの約数mに対してmod exp(N)でのmの位数はmod exp(H)でのmの位数の2倍以下である。 この定理を用いて"アフィン差集合の素数べき予想"をチェックするとn≦10^<5>のnについてこの定理によって155個を除いた場合に予想の正しさを直ちにチェックできる。これは予想が一般的に正しいことにさらに強い根拠を与える。
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