研究分担者 |
福田 拓生 日本大学, 文理学部, 教授 (00009599)
泊 昌孝 日本大学, 文理学部, 教授 (60183878)
原 伸生 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90298167)
吉田 健一 名古屋大学, 多元数理研究科, 助教授 (80240802)
高木 俊輔 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助手 (40380670)
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研究概要 |
本研究は標数pのFrobenius写像を用いて特に標数0の代数多様体の特異点の性質を記述することをテーマとしている.本年度の第1の研究テーマは,lc threshold, multiplier idealおよびそのjumping numberなどを標数pの手法を用いて記述することである. lc thresholdの標数pへの「翻訳」はF-pure thresholdとなる.この性質を一般化したものとして2つのイデアルの組(I, J)に対して定義されるF-threshold c(I,J)の研究を行い,この概念がF有理環を特徴付けることを示した.また,正則局所環のイデアルに関する重複度の不等式の一般化の予想を提示し,正則局所環の単項式で生成されたイデアルに関して成立することを示した. また,3次元多項式環の単項式で生成された整閉イデアルに関する重複度とcolengthとの不等式とmultiplier idealとの関連を示した. 高木は高次元代数幾何学の極小モデルプログラム理論に現れるklt特異点,plt特異点の概念と強F-正則対,因子的F-正則対の対応を示し(kltならばplt,強F-正則ならば因子的F-正則である).これにより可換環論的手法を用いてklt, plt特異点を研究することが可能になった. 原は正標数の非特異曲面とその上の有効因子Dの組に対して定義されるF-pure thresholdについて研究し,とくに,因子Dが斉次多項式f(x,y)で定義されている場合に,F-純閾値のとり得る値の精密な評価を与え,特に有限体上定義される場合の値が有理数であることを示した. また,M.Mustataとの共同研究により,佐藤-Bernstein多項式の一部の根がF-thresholdを用いて記述されることがわかり,この事実の精密化もこれからの課題となっている. 渡辺はS.Nohとの共同研究で,2次元正則局所環におけるsimple idealがadjacent over idealをただ1つ持つという性質の同値性を示したが,この事実を2次元有理特異点へ一般化することも次年度への研究課題である.
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