研究概要 |
1.K3曲面から生ずるモーデル・ヴェイユ格子で,最大階数18をもつものの実例について,格子構造の完全な決定,有理点の生成元の具体的表示,分解体の決定,等を実行した。これらの格子は高次元における球の詰め込み問題と密接に関係している。[文献1] 2.より一般に,任意の"特異"K3曲面(ピカール数が最大20のもの,上記1はその具体例)について,猪瀬による楕円曲面としての定義方程式を,6次以下の巡回的同種写像で引き戻したとき生ずるK3曲面の超越格子を決定した。これにより,K3曲面のネロン・セヴェリ群とモーデル・ヴェイユ格子の構造の解明に寄与した。[学会発表1,文献2] 3.楕円曲線上の楕円曲面に関する研究。唯一つの特異ファイバーをもつ楕円曲面は,底曲線が射影直線のときは存在しないが,楕円曲線のときは存在し,しかも本質的に一意的である。これについて,代数幾何ならびに数論的な観点から詳細に調べた。[文献3] 4.楕円曲面の整点の考察から提起されたグレーブナー基底に関する問題を,有理楕円曲面の場合にモーデル・ヴェイユ格子の理論を用いて解決した。特異点の変形への応用がある。[学会発表3](以上塩田)。 5.(フェルマー型多様体のホッジ予想に登場するヤコビ和とガウス和に関連して)自然数mおよびmを割らない素数pの組に対して定義されるガウス和がpureになるためのmとpの条件を決定した。文献[4](青木)。 6.特殊関数の代表例である超幾何関数,および非線形の特殊関数を与える微分方程式であるパンルヴェ方程式を中心に研究を行った。とくに,ある種のソリトン方程式の階層から,パンルヴェ方程式のII型〜VI型が統一的に得られることを示した。文献[5],[6](筧)。
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