研究概要 |
Fをq^2元体とし,これを固定する.ただし,qは素数の冪である.F上の射影平面内で非斉次方程式y^q+y=x^<q+1>で定義された(あるいは,それにF上射影同値となる)曲線をHermitian曲線とよぶ.この曲線は望みうる最大個数のF有理点を持ち,またF上の自己同型群も大きく,正標数体上で特有な曲線の性質を調べようとするとき,まず手がけるべきものである.前年度までの研究でこの曲線上の2点符号の最小距離をすべて決定したが,今年度はそれら2点符号の第2Hamming最小距離の決定を試みた.最小距離を記述した際,結果を6つの領域に分けて記述したが,ほぼそれに重なる形で領域を分割することで,第2Hamming最小距離も取り扱える見通しがたち,その領域名でいうとVIに相当する部分を除いて第2Hamming最小距離の決定を済ませた. またこの研究過程でHermitian曲線の幾何を精密に調べた副産物として,この曲線に関するGalois点を全て決定することに成功した.その結果は次の通り. 定理.Fの代数閉包上の射影平面内の点が,Hermitian曲線に対するGalois点である必要十分条件はその点がF有理点であること. Galois点という概念それ自身は定義体に依存しないものなので,有理点の言葉を使わない定式化が望ましいが,それは次の通り. 定理.射影平面内で非斉次方程式y^q+y=x^<q+1>で定義される曲線に対するGalois点はこの曲線の変曲点および2つの変曲点での接線の交点である.逆にそれらの点はこの曲線に対するGalois点である.
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