本年度は主に 1.generalized Cohen-Macaulay単項式イデアルの検討 2.パラメータ・イデアルの密着閉包理論の検討 を行った。 1.については、平方自由な単項式イデアルの場合に知られていた局所コホモロジーのHochsterの公式を一般の場合に拡張し、それを使って(1)generalized Cohen-Macaulay単項式イデアルの局所コホモロジーの消滅次数の下限定理を証明し、(2)generalized Cohen-Macaulay単項式イデアルの組合せ論的特徴づけを与えた。さらに、後藤四郎氏との共同研究により、平方自由な単項式イデアルで、その冪が全てgeneralized Cohen-Macaulay単項式イデアルになるようなものを完全に決定し、generalized Cohen-Macaulay単項式イデアルのひとつのクラスを与えることに成功した。 2.については、特に次数付き孤立非F-有理特異点に絞って、Huneke-Smithの切片環の方法による小平消滅定理との関連性、および、後藤-中村による密着閉包の重複度理論との関連について、詳細に検討を行った。次数付き孤立非F-有理特異点の局所コホモロジーの消滅次数の評価については、第2Wittベクトルへの持ち上げが存在する場合、標数が十分大きければ小平型消滅定理が成立することが、Deligne-Illusieの1987年の結果によって知られているが、それ以外の場合については散発的な結果が得られているだけのようであり、解明すべき問題は多いと思われる。 それ以外の実績としては、日大文理学部のおける特異点セミナー、および、平成17年9月の特異点理論国際シンポジウムの参加を通して、複素高次元代数多様体における各種特異点理論への乗数イデアル、密着閉包理論の応用、Blow-up環の極小自由分解の標準射影におけるふるまい等についての最新の研究動向を調査した。
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