研究概要 |
平成19年度は,著書・編集書が各1冊すつ出版されました.一冊は,研究分担者塚田氏と共著のもので,図書として以下に挙げました.内容は,ゼータ関数を通して,ベルヌーイ多項式,ガンマ関数などの特殊関数の理論を構成するという新しい視点からの成書です.2冊目は、第4回日中セミナーの報告集で,ホットな分野のサーヴェイを集め,とくに若手の研究者の指針になるべく世に送り出しました.また,これは同時に,研究代表者が編集主幹を務めますワールドサイエンティフィック社のブックシリーズ「数論とその応用」の第2巻でもあります.第3巻は,京都大学畑氏によるもので,「解析学問題集」で,数論の解析的な部分に関する"worked-out examples"を集成し,ポーヤーセゴウの「問題集」に匹敵するものであります. 論文として出版されましたものは,今年度は2編で,1つは,葛巻氏との共著で,「ジェミャネンコ行列式」を平均ベルヌーイ多項式の固有の性質と,介在する群の性質から研究して,明示的な形を求めたものです.今1つは,フルウィッツゼータ関数を含む和をそめ導関数で明示的に表す公式(ラマンジャンによる)の差分方程式による証明を与えると共に,その応用を述べ,その1つの系により,スリヴァスタヴァーチョイの著書「ゼータおよび関連した関数を含む級数」の59-274ページ,即ち,215ページ分が収まってしまいます.さらには,最近出たエスピノサーモルの論文のほとんどの内容が系として含まれており,ある意味で,この方面の研究の到達点を表しております. 以上の通り,今年度の研究におきましては,特殊な場合である,ベルヌーイ多項式,フルウィッツゼータ関数に関する結果を主に出版致しました.
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