研究概要 |
研究代表者は本研究の研究課題ついて、理論的な研究を行い、国内外の研究者との交流を深め情報交換を行い、それらをもとにして、現在得られている多重ゼータ関係の結果を整理し、新しい結果を理論的に構成した。具体的な交流としては、現在共同研究中の名古屋大学の松本耕二氏との定期的な研究打ち合わせ、また九州大学の金子昌信氏、近畿大学の大野泰生氏、さらにはドイツのMax-Plank InstitutのDon Zagier教授などとも研究打ち合わせを行い、広く現在の研究状況を把握した。 具体的な成果としては、以前から行ってきた多重ゼータ関数の関数関係式に関して、HardyによるRiemann Zeta関数の関数等式の証明の類似となるような方法で具体的な関数関係式を与えた。また松本耕二氏とともに多変数関数論的側面から研究を続けている半単純Lie代数に付随するWitten型ゼータ関数についての研究が進展し、具体的にsl(n)に付随したWitten型ゼータ関数について、その解析接続、およびそれらの満たす関数関係式が得られた。これにより、今までは非常に限られた形の特殊値のみが知られていたWitten型ゼータ関数に関して、広いクラスの特殊値に関する具体的な公式が得られた。これらについては、研究代表者が平成17年10月に京都大学数理解析研究所で行われた「解析的整数論研究集会」において報告した。また共同研究者の松本耕二氏により、平成18年2月に九州大学で行われた国際研究集会「Conference on L-functions」で研究成果が報告された。これらの結果は、フランスの数学専門誌"Annales de l'Institut Fourier"に掲載予定である。その他、Mordell-Tornheim型の多重ゼータ関数に関する結果がProceedings of American Mathematical Societyに,また二重Euler数に付随する二重ゼータ関数に関する結果がJournal of Australian Mathematical Societyに掲載された。
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