研究課題
基盤研究(C)
数年前からの研究の最終結果として、Panos Papasogluとの共同研究として有限表示群の「JSJ分解」について決定的な結果を得て、その論文が出版された。JSJ分解の名前の由来は、コンパクトで素な3次元多様体Mを埋め込まれたトーラスと円筒で分解(=切断)することを考えるとき、それがある意味で一意的になされることを発見したJaco-Shalen-Johannsonによる仕事である。ファン・カンペンの定理によれば、Mのそのような分解は、Mの基本群Gのトーラスと円筒に対応する部分群(Z, Z+Z)に関する「グラフ分解」を導く。3次元多様体論のほかの成果を合わせると、GのZ, Z+Zに同型な部分群についての任意のグラフ分解は、このグラフ分解から得られることも分かる。その意味で、このグラフ分解はユニバーサルである。3次元多様体論において、JSJ分解は基本的な存在である。一例として、コンパクト3次元多様体に関するサーストンの「幾何化予想」は、JSJ分解の存在を基にしている。今から10年くらい前、Rips-Selaは、一般の有限表示群Gと、Zに同型な部分群について、上で述べたような意味でユニバーサルなグラフ分解が一意的に存在することを示し、GのJSJ分解と呼んだ。今回の共同研究では、Zに同型な部分群に限られていたRips-SelaによるJSJ分解を、「スレンダー」な部分群にまで拡張した。ただし、スレンダーな群とは、その任意の部分群が有限生成な群のことである。たとえば、有限生成なアーベル群やベキ零群はすべてスレンダーであるが、ランクが2以上の自由群はスレンダーではなし。ここでは主結果を次のように述べておく。定理「任意の有限表示群について、そのスレンダーな部分群に関するJSJ分解が一意的に存在する」。
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