研究課題/領域番号 |
17540063
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
久我 健一 千葉大学, 理学部, 教授 (30186374)
|
研究分担者 |
稲葉 尚志 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (40125901)
杉山 健一 千葉大学, 理学部, 助教授 (90206441)
佐藤 進 千葉大学, 大学院自然科学研究科, 助手 (90345009)
|
キーワード | 微分位相幾何学 / Ricci flow / 4次元多様体 / 可微分構造 / 4次元球面 |
研究概要 |
本年度は研究対象を可微分ホモトピー4次元球面上のRicci flowに限定した。エキゾチック(異種)4次元球面が存在しないという根拠は無いが、研究を具体化するため、ホモトピー4次元球面上の可微分構造は一意であるという仮説をたて、この仮説の証明の可能性を探った。証明の方針としては、Ricci flowの初期値である初期リーマン計量を微分位相的方法で手作業で調整することによって、Ricci flowを走らせたときた発生しうるサージェリーの可能性を限定し、制御可能なサージェリーの後、曲率作用素を正にすることによって、最終的に正の定曲率計量に収束させるというものである。このために、まずホモトピー4次元球面上に正のRicci曲率の候補となる対称2次元テンソルを仮定し、これをRicci曲率とするようなリーマン計量の存在に対する大域的な障害が、はじめの対称2次元テンソルの微分位相幾何的な手作業で、解消することができるか、という議論を典型として研究を進めた。さらにD.DeTurck等による、与えられた対称2次元テンソルをRicci曲率にもつリーマン計量の局所的構成の研究を、より制限のゆるい正のイソトロピック曲率をもつ計量の構成について適用したとき、どれくらい大域的計量の存在に関する障害が解消されるか、という点について検討した。正のイソトロピック曲率の範囲であれば、R.Hamiltonの結果により、制御可能と思われる範囲のサージェリーののち、Ricci flowが収束するからである。現段階で最終的結論には至っていないが、正のイソトロピック曲率の範囲に広げても、まだ大域的障害は解消できない可能性が大きい。Ricci flowが崩壊する2次元曲面(複体)に沿ってのトポロジカルな大域的調整の必要性が明らかになりつつある。
|