研究概要 |
我々は,複素平面上の稲妻対という,組み合わせ的なデータから定まるある種の図形を考え,その稲妻対からdipoleを持つリーマン面を構成する方法を利用して,リーマン面のモジュライ空間の位相的な性質を明らかにしていくことを目的として研究を進めた. 研究を進めて行く過程において,我々は次のような結果を得た. 1.稲妻対のある種の高次元化として,6次元球面に滑らかに埋め込まれた3次元球面たち,すなわち,(6,3)型のHaefliger結び目を考え,その結び目解消数を定義した.そして,すべての(6,3)型Haefliger結び目に対し,結び目解消数を決定した. 2.最も基本的なリーマン面である2次元球面に関連して,5次元AdS Kerrブラックホールの2つの地平線を近づけrescaleして極限をとることにより,2次元球面上の3次元球面束上に可算無限個の新しいEinstein計量を構成することに成功した. 3.複素数体上の半単純リー環の表現論で成功したD加群の手法を,正標数の体上の代数群の表現論に適用するにあたり,まず,旗多様体が射影空間の場合と群がSL3の場合を調べ,構造層にFrobenius作用素を施して双対をとることにより,tilting層が得られることを示した. 4.初等幾何におけるMorley'sの定理の別証明を与えた.
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