研究概要 |
A.Futaki and K.Tsuboi, Fixed point formula for characters of automorphism groups associated with Kahler classes, Math. Res. Letters, vol.8,495-507(2001),において,閉複素多様体がある特定のホッジ類に属する定スカラー曲率ケーラー計量を持つための障害であるBando-Calabi-Futaki characterを具体的に計算する方法を与えた.この方法を用いて,いくつかの閉多様体に対し,特定のホッジ類に属する定スカラー曲率ケーラー計量が存在しないことを示した.この結果はOn the BCF-characters of complex manifolds with Kahler metrics of constant scalar curvatureとしてまとめ,J.Tokyo Univ.of Marine Science Technologyより出版される予定である。さらに,上記の方法を用いて,定スカラー曲率ケーラー計量を持つ閉複素多様体が円周作用を持つときの固定点情報に対する条件を得た.この結果はA fixed point formula for 0-psudofree S1-actions on Kahler manifolds of constant scalar curvatureとしてまとめ,近日中に投稿予定である. さらに,上記の方法と共にThe finite group action and the equivariant determinant of elliptic operators, J. Math. Soc. Japanで得た楕円型作用素の行列式を用いる方法を組み合わせることにより,定スカラー曲率ケーラー計量を持つ閉複素多様体上の有限群作用に関して,より精密な結果が得られると考えられる.この方法を用いれば,例えば,正則ベクトル場全体の作るリー環がreductiveであるにも関わらず,いかなるホッジ類も定スカラー曲率ケーラー計量を含まないという,今まで知られていない例も作れることが期待され,現在研究をすすめている.
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