研究概要 |
これまでに得られていた2橋結び目のcolored Jones polynomialの公式にR.LawrenceとO.Ronによって与えられた,結び目のcolored Jones polynomialの公式からその結び目に関するデーン手術によって得られるホモロジー球面のSU(2)WRT不変量をえる方法を適用することにより,ホモロジー球面については、SU(2)WRT不変量を決定することが知られている大槻不変量の数論的性質を予想し、実際に、葉広氏による結果を利用することにより、その性質が成り立つことを示した。 更に、樋上によってえられていたザイフェルト多様体の大槻不変量のデータをもとに、LMO不変量のとりうる値を研究し、代表者によって得られていたザイフェルト多様体のデータを利用することにより整ホモロジー球面に対する、次数6までのLMO不変量の集合を決定し、応用として、整ホモロジー球面に対する、次数6までの大槻不変量の関係式を完全に決定した。 LawrenceとZagierは、ポアンカレ・ホモロジー球のSU(2)WRT不変量が保型形式と密接な関係があること、すなわち、半整数重みを持つ保型形式のアイヒラー積分の極限値がWRT不変量と一致することを発見した。樋上は整ホモロジー球ではないある種のザイフェルト多様体についてWRT不変量を詳細に解析し、やはり保型形式のアイヒラー積分を用いてWRT不変量が書き表せることを示した。さらに、保型性をもちいることによりWRT不変量の厳密な漸近展開を得、大槻級数、Chern-Simons不変量などの位相不変量の数論的な解釈を与えた。また、ここで現れる保型形式も多様体の基本群と密接な関係があることを明らかにした。
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