研究概要 |
結び目と3次元多様体の不変量について研究をおこなった。 筆者は、2ループ多項式を結び目補空間の無限巡回被覆の「同変Casson不変量」とみなす観点から、Seifert曲面のspineの3次以下の有限型不変量を用いて2ループ多項式を表示した。また、結び目補空間の巡回被覆の量子不変量は結び目補空間の無限巡回被覆の「同変量子不変量」により統一的に記述される。筆者はいくつかの結び目についてその同変量子不変量の無限個の値を具体的に記述した。これらの不変量について調べることにより様々な同変不変量がよりよく理解できるのではないかと筆者は期待している。これらの話題と関連する話題について筆者はプレプリントを3本執筆し(現在ジャーナルに投稿中)、筆者のホームページ等において公開している。 筆者は、本研究の研究分担者の葉廣和夫氏と共同で低次元トポロジーセミナーを開催した。今年度の講演者は、水摩陽子,栗屋隆仁,Soeren Hansen, Alexander Stoimenow, Vladimir Turaev, Alexis Virelizierの各氏で、講演内容はいずれも結び目と3次元多様体に関するこの分野の一線級の内容であった。とくに、筆者は本研究補助金の援助によりTuraev氏の連続講義(3日間)を企画し、日本全国から約30名の参加があった。現在この連続講義のレクチャーノートを作成中である。これらのことは申請者や研究分担者との共同研究をすすめるにあたって、また、大学院生等の若手研究者との研究交流の面からも、大変有益であった。
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