研究課題
結び目と3次元多様体の不変量について研究をおこなった。筆者は、結び目補空間の無限巡回被覆の同変量子U(1)不変量を調べる観点から、結び目の手術表示の同変絡み数行列をもちいて結び目の不変量を構成し、この不変量が結び目のSeifert行列のS同値類で決定されることなどこの不変量の基本的な性質を証明した。また、筆者はべッチ数が1の3次元多様体の量子不変量の摂動展開を計算し、ある種の場合に、これを摂動的不変量として定式化した。3次元多様体が結び目にそった手術で3次元球面から得られるとき、この摂動的不変量は結び目の2ループ多項式の情報を反映しており、従来の方法で定式化するより精密な不変量になっている。これらの話題と関連する話題について筆者はプレプリントを3本執筆し(現在ジャーナルに投稿中)、筆者のホームページ等において公開している。筆者は、本研究の研究分担者の葉廣和夫氏と共同で低次元トポロジーセミナーを開催した。今年度の講演者は、Gwenael Massuyeau氏、高瀬将道氏、Alexander Stoimenow氏であった。また、低次元トポロジーセミナーと関連して筆者はSergei Duzhin氏による連続講義(2日間)を開催した。これらのことは申請者や研究分担者との共同研究をすすめるにあたって、また、大学院生等の若手研究者との研究交流の面からも、大変有益であった。
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