研究概要 |
本研究のメインテーマであるリーマン多様体の一点pからの距離関数d_pについては,代表者の酒井隆はリーマン計量が自然な非退化性条件を満たすとき,切断跡が良い構造(stratification)を持つことを用いて幾何学的な立場がら直接に距離関数のモース理論を展開することを伊藤仁一と共に試みてきた.平成18年度までに得られていた結果をまとめて投稿していたが,平成20年1、月に掲載された,、平成19年度は原稿の修正・改良を行なうと共に,この条件がどの程度まで一般的かについて検討した.このことについては今後さらに考察を続けたい. 計量不変即彫不等式(等縮不等式・等径不等式),曲率非負のコンパクト・リーマン多様体のガラシアンの第1固有値評価およびその摂動版について見当し,種数2の閉曲面における等縮不等式については平成19年2月に福岡大学微分幾何研究会で報告したか,これらの問題については本質的な進展が得られなかったので今後も研究を継続する.酒井はまたユネスコのウエッブ上の百科事典EOLSS(Encyclopedia of life support system)の6.1.3.4節Differential Geometryを執筆した. 距離関数に関連して,清原一吉は可積分測地流の立場から一般次元楕円面(やあるクラスのLiouville多様体)の一般点の切断跡・共役跡の構造を伊藤仁一と共に研究し,勝田篤は境界付リーマン多様体の境界からの距離関数から内部のリーマン計量を復元する逆問題を考察した.森義之は量子コンピュータのアルゴリズムを研究し,酒井にコンピュータ支援を行った.
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