研究課題
昨年に引き続き、球面上の滑らかな有限群作用の固定点集合が0次元の場合の諸問題の考察を行った。有限群の球面上作用において、固定点がちょうど2点の場合、固定点上の表現2つが同型ではないかとスミスは1960年に問題を出した。これは、位数8の巡回群に対して反例が示されている。その後、90年後半に、オリバー群、特に、非可解群については、素数ベキでない位数の元の実共役類の個数が2つ以上であることが、その群に対して反例となる2プロパーな球面上の作用が存在するための必要十分条件であろうと予想されていた(ライティネン予想)が、昨年、森本により、6次交代群の自己同型群に対し、成立しないことが示された。このことは、ディスク上の有限群作用と球面上の有限群作用に顕著な違いがあることを示している。しかしながら、現状の手法においては、ディスク上の有限群作用を利用して、球面上の有限群作用を作るものしか知られていない。この流れの中で、ある条件を満たす2つの表現の存在があれば、反例となる2プロパーな球面上の作用が作れる。2つの表現が存在するための十分条件を与え、RIMS研究集会「変換群論の手法」において発表を行った。森本によって、ライティネン予想が一般に成り立たないことが示されたが、それでも、多くのオリバー群に対して成り立つ。代表的な例は、パワロウスキー、ソロモンにより示された、奇数位数のオリバー群や、多くの非可解ギャップ群である。その証明のアイディアに習い、実共役類の個数が2つ以上あるための十分条件をあげ、その条件を満たす冪零群を完全に決定した。冪零群となる商群の考察と、その十分条件が非可解群で成立するかどうかを考察することにより、6次交代群の自己同型群を含む2つの群をのぞく、すべての非可解群でライティネン予想が成立することを示した。この結果は、かながわ県民活動サポートセンターで開かれた研究集会「変換群論シンポジューム」において発表した。
すべて 2006
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Methods of Transformation Group Theory, RIMS Kokyuroku 1517
ページ: 78-31