研究概要 |
本研究課題における17年度の研究成果の概要は以下のとおりである。コンパクト・ケーラー多様体上の正則ベクトル束π:E→Mの射影化束P(E)は自然にコンパクト・ケーラー多様体の構造をもつことはよく知られている。この事実より与えられた束Eは強擬凸な複素フィンスラー構造を許容することは以前の研究において証明した。本研究では,射影πがケーラー沈め込みになっているとし,この仮定のもとで自然に得られた複素フィンスラー計量がいかなる特徴をもつかを研究した。特に,束Eが底空間Mの正則接束TMの場合,得られたフィンスラー計量が(強い意味での)ケーラー条件を満たしているかという自然な疑問が生じる。この問題を研究するために,まずChern-Finsler接続の曲率や捩率の満たすべき恒等式を証明し,それから得られる結果について (1)Tadashi Aikou, Chern-Finsler connection and its applications, Conference on Differential Geometry and Physics, Aug.29-Sept.2,2005,Eotvos Lorand University, Budapest, Hungary. (2)Chern-Finsler connection and Finsler-Kahler manifolds,40-th symposium on Finsler geometry, Sept.6-10,2005,Hokkaido Tokai University. として発表した。また論文「The Chern-Finsler connection and Finsler-Kahler manifolds」にまとめ投稿中である。
|