研究分担者 |
中野 史彦 高知大学, 理学部, 助教授 (10291246)
磯崎 洋 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 教授 (90111913)
永尾 太郎 名古屋大学, 大学院多元数理科学研究科, 助教授 (10263196)
笠原 勇二 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 教授 (60108975)
上木 直昌 京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 助教授 (80211069)
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研究概要 |
本研究代表者(南)は1996年に発表した論文(Commun.Math.Phys.177)において次のことを証明した:H^L_ω3はアンダーソンモデルH_ω=-Δ+V_ωをd-次元立方体[0,L]^dに制限したものとする。ここでΔはZ^d上の離散ラプラシアン、V_ω={V_ω(x);x∈Z^d}は独立同分布確率変数からなるランダム・ポテンシャルである。各々のV_ω(x)の分布が有界な密度関数をもつことを仮定すると、H_ωのintegrated density of states N(E)は殆ど至るところで有限な密度n(E)=dN/dEを持つ。さて、E^L_1<E^L_2<…をH_ωの固有値として、n(E)が存在するようなエネルギー値Eを中心としてξ^ω_j(E,L):=L^d(E^L_j-E)のようにスケールした固有値拷えると、L→∞の極限において点過程Σ_jδ_<ξ^ω_j>(E,L)はn(E)をパラメータとする定常ポアソン点過程に法則収束する。 本年度はこの結果をエネルギー軸に沿った準位統計という観点から見直して次のような予想を立てた:e^L_j(ω):=L^dN(E^L_j)とおくと、任意のγ∈[0,1)に対して確率1でL^<-d>#{j;e^L_j(ω)【less than or equal】γL^d}→γが成り立つ(unfolding).μを[a,b]上の一様分布とし、Ω×[a,b]上で定義された点過程Ξ^L_<ω,t>:=Σ_jδ_<e^L_j(ω)>を考えると、殆どすべてのωに対してμの下でのΞ^L_<ω,.>の分布はパラメータ1のポアソン点過程の分布に収束する。 本年度の成果は、以下の補題が成り立つという前提の下に上記の予想が少なくとも部分列{L_j}に沿っては成り立つということを証明したことである。しかしながらこの補題の証明が困難であり、現在のところ成功していない。 補題:立方体[0,L]^dをN_L:=L^α(0<α<1)個の小立方体C_pに等分し、H^<C_p>_ωの固有値をE^p_jとする。η^ω_j(C_p;E):=L^d(E^p_j-E)とおいて点過程η(C_p;E)=Σ_jδ_<η^ω_j(C_p;E)>を考えるとき、任意の有限区間Jおよび任意のE≠E'に対してP(η(C_p;E)(J)【greater than or equal】1,かつη(C_p;E^1)(J)【greater than or equal】1)=o(N^<-d>_L)(L→∞).
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