研究分担者 |
中野 史彦 高知大学, 理学部, 准教授 (10291246)
上木 直昌 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 准教授 (80211069)
牧野 浩典 東海大学, 情報理工学部, 准教授 (40338786)
永尾 太郎 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 准教授 (10263196)
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研究概要 |
本研究では点過程論の立場からランダム作用素のスペクトルの統計的な揺らぎの問題に対して一般的なアプローチを試みるとともに、ランダムなシュレーディンガー作用素の準位統計について具体的な研究を行った。また、これらと並行してランダム行列のトレースのモーメント評価の問題から派生して、ランダムな樹形図に関する確率論的な研究を行った。主な研究成果は次のとおりである。 1.エネルギー準位統計において量子ハミルトニアンのスペクトルを定常点過程の典型的な実現とみなすために行われるunfoldingという手続について、その数学的な定義を定式化した。 2.差分型のランダムなシュレーディンガー作用素について、unfolding後のスペクトルがポアソン点過程の典型的なサンプルに近づくことの証明を試みた。その結果、異なる2つの区間が作用素の固有値を同時に含む確率を評価することに証明が帰着することを明らかにした。しかしながら、その確率の評価ができなかったため、証明は現在のところ未完成である。 3.離散時間分枝過程の軌跡として得られるランダムな樹形図について、子供の数がk=0,1,,,,であるような頂点の個数の分布に関する局所極限定理を証明した。 4.各頂点が、空間的位置、年齢、種別などを表す「印」(mark)を持つような樹形図の空間に確率測度を導入するための一般的な定理を証明した。
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