計算効率に優れた偏微分方程式の解の数値的検証法に関する論文が研究雑誌J.Comput.Appl.Math.に出版された。この論文のキーワードは「最適化・再定式化された新しい簡易Newton法の収束定理」である。この収束定理は有限要素法をベースにした数値的検証法に最適化されている。しかしながら、有限要素法は、一般的に計算精度が高くなく、力学系の分岐などの複雑な現象の正確な解析には不向きであり、そうした対象にはスペクトル法がよく利用されている。そのため、筆者は簡易Newton法の収束定理をスペクトル法により適した形に単純化、一般化することに取り組み、成功した。さらに、Newton法の収束定理の適用条件を確かめるために本質的に利用する線形化作用素の逆のノルム評価法に関しても、スペクトル法に適用可能な形に一般化することに成功した。これらの結果および(昨年度の実績報告書で報告した)筆者により拡張・一般化されたCrandall-Rabinowitzの分岐定理を用いて、放物型微分方程式系で記述されたCoupled Brusselator modelがHopf分岐点をもつことを数値的に検証出来た。以上の成果をギリシャで開催された国際的研究集会International conference of numerical analysis and applied mathematics2006において講演し、報告した。
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