研究概要 |
スペクトル差分法適用を多重連結領域に拡張し,その有効性を飛躍的に高めるために,幾何学形状の変換に二重周期の楕円関数および有理関数の写像変換等を含む具体的な関数の導入決定を図る.対象の方程式としてNavier-Stokes方程式,エネルギ方程式等を考慮する. 具体的な数値解析ではそのため従来より複雑な場を含む三重連結領域,三次元二重連結領域などの幾何形状,熱流動場に適用する(原則として偏微分方程式の初期値境界値問題あるいは境界値問題を対象とする).解法の適用性(解の安定性,多重解,離散化法等),数値求積速度の決定等を行う.当初はフーリエスペクトル差分法を使用し,まずニュートン流体を対象として以下の要素を解析で考慮する. (i)種々の座標変換.種々の有理写像変換関数の導入 (ii)境界形状の検討[形状関数を明示,パラメータを含む種々の関数を使用,単位円写像関数の利用(多重連結の場合をふくむ.)] (iii)三重連結領域,三次元二重連結領域(単連結領域,二重連結領域も比較のため) (iv)自然対流,ついで強制対流 その結果,対象として有限円柱内に置かれた近似トーラス周りの軸対称三次元二重連結領域における自然対流場を取り上げ,ヤコビの楕円関数を利用し,パラメータで位置形状を適合させること及び多重連結条件を導入することにより少なくともスペクトル差分法により解析可能なことが判明した.
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