研究概要 |
平成18年度は論文2編を出版した。他にも、ハンガリーアカデミーに提出し査読中である論文は2編ともアクセプトされたが、印刷が遅れている関係で平成19年度に公表となる。また、他にも3篇の論文がElectronic Journal in probabilityとProbability and Mathematical Statisticsにアクセプトされており、これに関しても平成19年度内に公表される。出版した論文のうちの1番目は、パリ第6大学数学学部教授J.Bertoin, M.Yor、ナンシー大学数学学部教授B.Roynetteとの共著で、ブラウン運動やべッセル過程の独立指数分布をまたぐエクスカーションの分布を決定し、さらに、その無限分解可能性、自己分解可能性を示したものである。特筆すべき点は、それらの分布のレヴィ測度に逆正弦測度やその一般化測度が現れることを世界で初めて見つけたもので、まだまだ面白い性質などがあるはずで今後も研究を継続したい。第2の論文も同じテーマを取り扱っているが、統計数理研究所の研究会で発表したものを取りまとめたもので、ランダムウォークのケースについても独立幾何分布をまたぐフラグメンツたちが、無限分解可能であることを示し、その具体的なレヴィヒンチン測度を求めた、エクスカーションのケースでは、連続の場合と同様にレヴィ測度に離散逆正弦測度が現れるのを見つけた。 また、パリ第6大学ヨール教授との共同研究、専門書共同執筆も平成18年度も進んでいる。共同研究の方では 「On perpetual Brownian and Bessel quantiles」「An elementary proof of zeta(2)=pi^2/6 and related formulae」 「On the one-sided maximum of brownian and random walk fragments and its applications to the price of meander options」 という、3つの論文を現在執筆中で来年度中には公表できると思われる。共同執筆中の専門書「A discrete introduction to stochastic calclus and its application to mathematical finance」は、平成19年度の間に80%程度は終える計画であるが、平成18年度も本科研費を利用し、パリに行きヨール教授との検討作業を行った。
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